001伝染
彼女と行った夏祭りの帰り道。
なんとなくそのままバイバイするのが寂しかったので、ちょっとだけ公園のベンチに座って喋ることにした。
しばらく彼女と喋っていると、公園の入り口から女が入ってきた。
散歩中の人かな?と最初は気にしなかったのだが、外灯に照らされたその女は満面の笑顔でブツブツと何かを言っている。
女がベンチのすぐ側を通ったとき、ようやくなんと言っているか聞こえた。
笑顔のままで「呪う呪う呪う呪う…」とずっと言っているのだ。
女を見送りながら「何あれ…、めっちゃ気味悪いね」と、彼女に話しかけたが返事がない。
あれ?と思って彼女の方へ向き直ると。
彼女はこっちを見て満面の笑顔で「呪う呪う呪う呪う…」と言い続けていた…。